腕を挙げたときの“しびれ”や“重だるさ”、放置しないで!

「車の運転中、腕がしびれてくる」
「高所で作業していると、腕が重だるくなる」
「腕を挙げてしばらく経つと、感覚が鈍くなる」
そんなお悩みがある方は、“胸郭出口症候群”の一種である「肋鎖間隙(ろくさかんげき)での神経・血管圧迫」が原因かもしれません。
◆胸郭出口症候群とは?
胸郭出口症候群とは、首から腕にかけて通る神経(腕神経叢)や血管(鎖骨下動脈・静脈)が、何らかの狭窄部で圧迫されることで起こる症候群です。
その中でも、鎖骨と肋骨の間(=肋鎖間隙)が狭くなることで、神経や血管が圧迫されるケースは、腕を挙げる動作で症状が出やすいのが特徴です。
◆こんな職業・生活習慣の方は要注意!
☑ 車の運転時間が長い(タクシー・バス・トラックなど)
☑ 高所作業や頭上での作業が多い(電気工事・設備関係・塗装など)
☑ 肩をすくめたまま動作を続けている
☑ 野球・バレーボールなど腕を使うスポーツをしている
こうした動作を日常的に繰り返すことで、鎖骨と肋骨の隙間が狭まり、神経・血管が圧迫されるリスクが高まります。
◆肋鎖間隙での圧迫による主な症状
・腕を挙げたまま作業すると、手先がしびれる
・肘から指先にかけての感覚が鈍くなる
・腕のだるさ、握力の低下
・作業後、手がむくんだり冷たく感じる
一見、肩こりや末梢神経障害のように感じるこれらの症状ですが、体幹部(首~胸)のバランス崩れが背景にあることも少なくありません。
◆当院のアプローチ
当院では、肋鎖間隙での圧迫が疑われる場合、以下のような施術とアドバイスを行います。
〇鎖骨下筋や斜角筋、小胸筋などの柔軟性改善
〇胸郭・肩甲骨・頸椎の可動性チェックと調整
〇肋骨の動きを正常化する呼吸トレーニング
〇日常動作や作業環境の工夫(肩の位置・作業高さの見直し)
特に重要なのが、“鎖骨の動き”と“肋骨の柔軟性”。
これらが硬くなることで、胸郭出口が狭くなりやすいため、局所だけでなく全身のバランスを診る必要があります。
◆放置しないで!悪化すると…
神経の圧迫が進むと、しびれや痛みだけでなく、冷感や血流障害を起こすケースもあります。
「しびれてもすぐ戻るから…」と軽く考えず、早めの評価とケアが大切です。